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「第九と皇帝」公演記録「第九と皇帝」にお寄せ頂いたお手紙

指揮者 熊谷 弘

今こそ「第九交響曲」を!
“もっと歓びに満ちた調べを”高らかに歌い上げよう。

 「おお友よ、そのような調べではない!もっと歓びに満ちた調べを奏でよう」と呼びかけるベートーヴェン自身の言葉につづき、シラーの詩“歓喜の歌”により「愛と平和、そして喜び」を歌い上げる“第九交響曲”は、ベートーヴェンの描く永遠の理想郷であり、全人類に贈られた愛のメッセージである。
 音楽を愛し音楽を感じる心は、神より私達人類に授けられた最高の贈り物であり、あらゆる隔たりは取り除かれ、互いの信頼は構築されると、私は思う。

 第九交響曲の演奏を通じ、聴衆と共にベートーヴェンの嵩高な世界に踏み入ることの出来る歓びを実感し、人々の愛を信じ、全世界の平和を祈りながら、その歓びを一人でも多くの人々と分かち合いたいと願っている。
 今こそ、音楽を愛する人はここに集い、高らかに歌い上げよう。

 恒例になった「第九と皇帝」は、私にとって一年間の演奏活動の総括であり、音楽する心を力強く支えてくれている。毎年繰返す“第九”の演奏は、音楽のはかり知れない奥の深さを体験し、自己を再確認し、未知の世界に向かって前進する出発点でもある。“第九交響曲”を演奏する中で、神の姿を重ね見るようになったのは私だけなのだろうか。

 大勢の仲間達と共に、ベートーヴェンと対話出来る幸せに感謝し、“第九交響曲”を広く知らしめる事を自らに架せられた責務と受け止め、命ある限り繰返し演奏し続けたいと思う。
(2001年10月17日)

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